モールス打

▸ プロサイン・Q符号・略語 ◂

1. プロサイン(Prosign)とは

プロサインは "Procedural Signal" の略で、CW 通信で **手順や区切りを示すための符号** です。通常のアルファベットとは異なり、2 文字以上を「文字間隔を空けずに続けて」送ることで特別な意味を持たせます。

たとえば "AR" プロサインは、A(・−)と R(・−・)を続けて送出 → 「・−・−・」となり、これは「送信終了(まだ交信は続く)」の合図です。個別に A + R と送るのとは意味が違います。

プロサインは CW 交信の効率と明確性を保つために重要で、必ず覚えておくべき記号です。

2. 主要プロサイン一覧

プロサイン符号意味・用途
AR・−・−・送信終了。まだ交信は続く。「以上、応答どうぞ」の意味も
SK / VA・・・−・−交信終了。「これで通信を終わります」
BT / TV−・・・−区切り。文書やパラグラフの区切りに(=マークとしても使われる)
KN−・−−・指名した相手のみ応答してほしい
BK−・・・−・−Break-in。相手の送信中に割り込む時
SN / VE・・・−・了解(Understood)
SOS・・・−−−・・・国際救難信号
CQ−・−・ −−・−不特定局呼び出し(2 文字だが慣習的にプロサイン扱い)
DE−・・ ・「こちらは〜」(From)。相手のコール DE 自コール で使う
K−・−「応答どうぞ」(誰でも応答可)
R・−・了解(Roger、Received)

3. Q 符号(Q-Code)とは

Q 符号は、CW 通信を効率化するために 3 文字で長い意味を表現する国際的な省略コードです。すべて Q で始まる 3 文字で、平叙文と疑問文の両方に使えます(末尾に「?」を付けると疑問形)。

もともとは船舶や航空の CW 通信のために制定されましたが、現在はアマチュア無線でも広く使われています。以下は特に頻用される Q 符号です。

4. アマチュア無線でよく使う Q 符号

Q 符号疑問形の意味平叙形の意味
QRAあなたの局名は?私の局名は〜です
QRL忙しいですか? / この周波数は使用中?忙しいです / 使用中です
QRM混信がありますか?混信があります
QRN空電(ノイズ)がありますか?空電があります
QRO電力を上げましょうか?電力を上げます
QRP電力を下げましょうか?電力を下げます / 小電力運用中
QRQもっと速く送って?速く送ります
QRSもっとゆっくり送って?ゆっくり送ります
QRT送信を止めますか?送信を止めます
QRU何か伝えることは?特にありません
QRV準備できていますか?準備できています
QRXいつ再交信できますか?〜分後に再交信します
QRZ私を呼んだのは誰ですか?あなたを呼んでいるのは〜です
QSB信号がフェージングしていますか?信号がフェージングしています
QSL受信を確認できますか?受信を確認しました / QSL カードを送ります
QSO交信できますか?交信します / 交信のこと
QSP中継してもらえますか?中継します
QST全局にお知らせ
QSY周波数を変えますか?周波数を〜に変えます
QTHあなたの所在地は?私の所在地は〜です
QTR現在時刻は?現在時刻は〜です

5. CW 略語(Abbreviation)

Q 符号やプロサインとは別に、英単語を短縮した略語も多用されます。

略語意味
TUThank You(ありがとう)
73Best regards(さようなら・よろしく)
88Love and kisses(女性局への挨拶)
OMOld Man(男性局への呼びかけ)
YLYoung Lady(未婚女性)
XYLeX-YL(奥様)
HRHere(こちら)
URYour(あなたの)
ESand(〜と)
DEFrom(〜より)
PSEPlease
TNXThanks
AGNAgain(もう一度)
WXWeather(天気)
NWNow(今)
DXDistance / 遠距離局
GDGood
GM / GA / GE / GNGood Morning / Afternoon / Evening / Night
RIG無線機
ANTAntenna(アンテナ)
PWRPower(電力)
CFMConfirm(確認)
OPOperator(オペレーター名)
FBFine Business(良い、素晴らしい)
HW?How copy?(受信状態はどうですか?)
CYes(はい)
NNo(いいえ) / 数字の 9 の代用

6. 数字の省略表記

CW では数字を打つのが時間がかかるため、コンテストなどで **数字の省略形** が使われます。特に「9」は N(−・)、「0」は T(−)と省略することが多いです。

正式省略符号(省略)
0T
1A・−
9N−・

たとえば「599」は「5NN」、「001」は「TTA」と打つと大幅に時間短縮できます。ただし、通常の交信では正式表記のほうが誤解が少ないので、コンテストなど文脈が決まっている場面で使うのが基本です。

7. R(Roger)とプロサインの使い分け

初心者が混乱しやすいのが「R」と「AR」の違いです。

音として聞くと、AR は R よりも長く、後半に "−・" が付く印象。慣れれば区別できますが、初心者は「AR = 終了マーク、R = 単純な了解」と覚えておくと良いでしょう。

8. 参考:BT の別用途

BT(−・・・−)は「区切り」の意味で使われますが、実は視覚的に「=」(等号)と同じ符号です。実際、モールス符号表では「=」も同じ ・−・・・− として定義されており、CW 交信中に文書を送る場合、句読点の代わりに BT を挟むと読みやすくなります。

9. まとめ

プロサインと Q 符号を覚えれば、CW 交信の 8 割以上がスムーズに行えます。これらは「単語」ではなく「機能」として脳に埋め込むイメージで練習してください。相手が QRS? と送ってきたら反射的に「速すぎるからゆっくり」と理解できるレベルが理想です。

実際の使い方はCW 通信入門コンテスト入門で解説しています。合わせて参照してください。

最終更新日:2026年