プロサインは "Procedural Signal" の略で、CW 通信で **手順や区切りを示すための符号** です。通常のアルファベットとは異なり、2 文字以上を「文字間隔を空けずに続けて」送ることで特別な意味を持たせます。
たとえば "AR" プロサインは、A(・−)と R(・−・)を続けて送出 → 「・−・−・」となり、これは「送信終了(まだ交信は続く)」の合図です。個別に A + R と送るのとは意味が違います。
プロサインは CW 交信の効率と明確性を保つために重要で、必ず覚えておくべき記号です。
| プロサイン | 符号 | 意味・用途 |
|---|---|---|
| AR | ・−・−・ | 送信終了。まだ交信は続く。「以上、応答どうぞ」の意味も |
| SK / VA | ・・・−・− | 交信終了。「これで通信を終わります」 |
| BT / TV | −・・・− | 区切り。文書やパラグラフの区切りに(=マークとしても使われる) |
| KN | −・−−・ | 指名した相手のみ応答してほしい |
| BK | −・・・−・− | Break-in。相手の送信中に割り込む時 |
| SN / VE | ・・・−・ | 了解(Understood) |
| SOS | ・・・−−−・・・ | 国際救難信号 |
| CQ | −・−・ −−・− | 不特定局呼び出し(2 文字だが慣習的にプロサイン扱い) |
| DE | −・・ ・ | 「こちらは〜」(From)。相手のコール DE 自コール で使う |
| K | −・− | 「応答どうぞ」(誰でも応答可) |
| R | ・−・ | 了解(Roger、Received) |
Q 符号は、CW 通信を効率化するために 3 文字で長い意味を表現する国際的な省略コードです。すべて Q で始まる 3 文字で、平叙文と疑問文の両方に使えます(末尾に「?」を付けると疑問形)。
もともとは船舶や航空の CW 通信のために制定されましたが、現在はアマチュア無線でも広く使われています。以下は特に頻用される Q 符号です。
| Q 符号 | 疑問形の意味 | 平叙形の意味 |
|---|---|---|
| QRA | あなたの局名は? | 私の局名は〜です |
| QRL | 忙しいですか? / この周波数は使用中? | 忙しいです / 使用中です |
| QRM | 混信がありますか? | 混信があります |
| QRN | 空電(ノイズ)がありますか? | 空電があります |
| QRO | 電力を上げましょうか? | 電力を上げます |
| QRP | 電力を下げましょうか? | 電力を下げます / 小電力運用中 |
| QRQ | もっと速く送って? | 速く送ります |
| QRS | もっとゆっくり送って? | ゆっくり送ります |
| QRT | 送信を止めますか? | 送信を止めます |
| QRU | 何か伝えることは? | 特にありません |
| QRV | 準備できていますか? | 準備できています |
| QRX | いつ再交信できますか? | 〜分後に再交信します |
| QRZ | 私を呼んだのは誰ですか? | あなたを呼んでいるのは〜です |
| QSB | 信号がフェージングしていますか? | 信号がフェージングしています |
| QSL | 受信を確認できますか? | 受信を確認しました / QSL カードを送ります |
| QSO | 交信できますか? | 交信します / 交信のこと |
| QSP | 中継してもらえますか? | 中継します |
| QST | — | 全局にお知らせ |
| QSY | 周波数を変えますか? | 周波数を〜に変えます |
| QTH | あなたの所在地は? | 私の所在地は〜です |
| QTR | 現在時刻は? | 現在時刻は〜です |
Q 符号やプロサインとは別に、英単語を短縮した略語も多用されます。
| 略語 | 意味 |
|---|---|
| TU | Thank You(ありがとう) |
| 73 | Best regards(さようなら・よろしく) |
| 88 | Love and kisses(女性局への挨拶) |
| OM | Old Man(男性局への呼びかけ) |
| YL | Young Lady(未婚女性) |
| XYL | eX-YL(奥様) |
| HR | Here(こちら) |
| UR | Your(あなたの) |
| ES | and(〜と) |
| DE | From(〜より) |
| PSE | Please |
| TNX | Thanks |
| AGN | Again(もう一度) |
| WX | Weather(天気) |
| NW | Now(今) |
| DX | Distance / 遠距離局 |
| GD | Good |
| GM / GA / GE / GN | Good Morning / Afternoon / Evening / Night |
| RIG | 無線機 |
| ANT | Antenna(アンテナ) |
| PWR | Power(電力) |
| CFM | Confirm(確認) |
| OP | Operator(オペレーター名) |
| FB | Fine Business(良い、素晴らしい) |
| HW? | How copy?(受信状態はどうですか?) |
| C | Yes(はい) |
| N | No(いいえ) / 数字の 9 の代用 |
CW では数字を打つのが時間がかかるため、コンテストなどで **数字の省略形** が使われます。特に「9」は N(−・)、「0」は T(−)と省略することが多いです。
| 正式 | 省略 | 符号(省略) |
|---|---|---|
| 0 | T | − |
| 1 | A | ・− |
| 9 | N | −・ |
たとえば「599」は「5NN」、「001」は「TTA」と打つと大幅に時間短縮できます。ただし、通常の交信では正式表記のほうが誤解が少ないので、コンテストなど文脈が決まっている場面で使うのが基本です。
初心者が混乱しやすいのが「R」と「AR」の違いです。
音として聞くと、AR は R よりも長く、後半に "−・" が付く印象。慣れれば区別できますが、初心者は「AR = 終了マーク、R = 単純な了解」と覚えておくと良いでしょう。
BT(−・・・−)は「区切り」の意味で使われますが、実は視覚的に「=」(等号)と同じ符号です。実際、モールス符号表では「=」も同じ ・−・・・− として定義されており、CW 交信中に文書を送る場合、句読点の代わりに BT を挟むと読みやすくなります。
プロサインと Q 符号を覚えれば、CW 交信の 8 割以上がスムーズに行えます。これらは「単語」ではなく「機能」として脳に埋め込むイメージで練習してください。相手が QRS? と送ってきたら反射的に「速すぎるからゆっくり」と理解できるレベルが理想です。
実際の使い方はCW 通信入門やコンテスト入門で解説しています。合わせて参照してください。
最終更新日:2026年