モールス打

▸ CW通信 入門ガイド ◂

1. CW とは何か

CW は "Continuous Wave"(連続波)の略で、無変調の搬送波をキーで断続することで情報を伝える通信方式です。断続のリズム(短音・長音の組み合わせ)がモールス符号であり、CW = モールス通信 と考えて実用上問題ありません。

アマチュア無線界隈では 100 年以上使われ続けている最古参のモードで、現在でも世界中で多くの無線家が愛用しています。CW の魅力は、シンプルな仕組みでありながら圧倒的な通信性能を発揮すること、そして「熟練」の要素があること、そして手動でのキーイングという物理的な楽しさにあります。

2. なぜ今も CW が使われるのか

音声(SSB)やデジタル(FT8 など)がある現代でも、CW は根強い人気を保っています。理由は主に 4 つです。

① 電波の到達性能が抜群

CW は帯域が狭い(数十 Hz〜数百 Hz)ため、同じ送信電力で SSB(帯域 2.4kHz)より **信号対雑音比(SN比)が高く** なります。結果として弱電界(遠距離・低出力・悪コンディション)でも交信が成立します。100W の SSB より 5W の CW の方が遠くまで届く、ということが実際にあります。

② 世界共通言語

言葉の壁を越えて交信できます。ロシア、中国、南米、アフリカ、どこの局とも同じフォーマットで交信可能。基本的な単語(RST、73、TU、CQ など)を覚えれば、初対面の海外局とも 1 分で交信できるようになります。

③ シンプルな機材で成立

送信側はキー 1 つ、受信側は耳とペンだけあれば良いので、災害時や停電時、山岳運用など「複雑な機材が使えない環境」で威力を発揮します。実際、災害時の緊急通信で CW が最終手段として活躍した事例は多くあります。

④ 「熟練」の楽しさ

音声通信は誰でも同じレベルで話せますが、CW は打鍵・受信ともに **習熟差が明確に出る技術** です。3 WPM の初心者から 40 WPM 超の達人まで幅広く、少しずつ上達を実感できます。この「積み上げる楽しみ」が CW の大きな魅力です。

3. CW とモールス符号の違い

厳密には別の概念です:

アマチュア無線の免許では「A1A」という電波型式として表記され、これが CW を指します。とはいえ、口語では「モールス通信 = CW」と同義で使われることがほとんどです。

4. CW 交信の基本フォーマット

CW 交信はほぼ決まったパターンで進みます。基本の流れを覚えれば、あとは応用です。

CQ を出す(呼び出し)

CQ CQ CQ DE JL1GIX JL1GIX PSE K

意味:「誰か聞こえる? こちらは JL1GIX、応答どうぞ」。CQ を 3 回、自局コールサインを 2 回、PSE K で応答を求めます。

応答する

JL1GIX DE JA1XYZ JA1XYZ K

意味:「JL1GIX さん、こちら JA1XYZ です、どうぞ」。相手局を 1 回、自局を 2 回。

本文交換(レポート交換)

JA1XYZ DE JL1GIX GE OM UR RST 599 599 BK

意味:「こんばんは(GE)、了解しました、貴局のシグナルレポートは 599 です、応答どうぞ」。UR = your、OM = old man、BK = break。

終了

TU 73 DE JL1GIX SK

意味:「ありがとう、さようなら、JL1GIX からでした、通信終了」。TU = Thank you、73 = さようなら、SK = 交信終了のプロサイン。

5. CW でよく使う略語・Q符号

CW では効率のために略語や Q 符号が多用されます。詳細はプロサイン・Q符号一覧ページを参照してください。よく使うものだけここで紹介:

6. CW の楽しみ方いろいろ

コンテスト

週末を中心に世界中でコンテストが開催されます。CQ WW CW(11 月)、ARRL DX CW(2 月)、JIDX CW(4 月)などが有名。短時間に多数の局と交信し、得点を競います。コンテスト入門ページで詳しく解説しています。

DX ハンティング

遠方の希少な国・地域(DXCC エンティティ)と交信して集める趣味です。CW は弱電界に強いため、DX ハンティングでは特に威力を発揮します。

ラグチュー(雑談)

コンテストや DX と対極的な楽しみ方。同じ相手と 30 分〜1 時間、天気や機材、無線談義を CW で交わします。ゆっくりした速度で行われることが多く、初心者にもおすすめ。

SOTA / POTA

山岳運用(SOTA)・公園運用(POTA)は、低出力・簡易アンテナ・野外運用でどれだけ交信できるかを楽しむアクティビティ。CW の弱電界性能が活きます。

7. 現代の CW 事情

2000 年代以降、多くの国でモールス試験が廃止され、資格取得のためのモールスは不要になりました。しかし、それは「モールスが不要になった」ということではなく、「モールスは実用スキルとして自主的に学ぶもの」になったということです。

むしろ試験がなくなったことで、義務ではなく趣味として CW を楽しむ人が増えているとも言えます。世界中のアマチュア無線家が今も CW で交信を楽しんでおり、日本でも CW 専門クラブや練習会が活発に活動しています。

8. CW を始めるには

  1. モールス符号を覚える学習ガイドを参照
  2. 受信練習 → モールス打の受信モードで 20 WPM 前後まで練習
  3. 送信練習送信モードで打鍵の練習(パソコンキーボードでも OK)
  4. 実機を用意 → 縦振り電鍵・複式電鍵・エレキー(パドル)のいずれか
  5. 実際の交信 → CQ を出したり、他局の CQ に応答したり

いきなり実機を買わなくても、モールス打で符号の習得と交信フォーマットの練習は完結できます。段階を踏んで CW の世界に慣れていってください。

最終更新日:2026年